前々回冒頭でお話した、とある学習塾の合格祝賀パーティー。何曲がやりましたが、シメの曲は世良公則&ツイストの「銃爪(ひきがね)」でした。
今夜こそお前を 落としてみせる!
……あのお、学習塾ですよね?
毎度。俺です。
今回も先日参加したレーシングキャンプの記事なんですが、前回の最後に「二日目に事件が!」みたいなヒキを作りました。ところがこれが根本的に間違いで。
この事件、実際には初日の午後イチに起こったものでした。いや~、時間がたったので記憶が混濁してしまいました。ははは。40歳を過ぎると体力の衰えよりも頭脳の衰えのほうが深刻ですね。とほほ……。
で、問題のその事件。
それが起きたのは初日午後のセット。午前のSLセットより少しインターバルを広げ、SLとGSの中間くらいのセットが立てられました。簡単なブリーフィングののち、
「ではまず一本私が滑って見せますので、参考にしてください」
と、かいぞー氏の模範演技から滑走が始まりました。見守る一同。
左ターン……右ターン……そしてひだ
あッ、転んだ~! 板解放~!
盛り上がる一同。
しかしかいぞー氏は動かない……動かない……しばらく立ち上がる様子がないのでスキー部の仲間が駆けつけます。結局パトロールが呼ばれ、橇に載せられてスノーモービルで搬送……。1本目を滑る前にまさかのコーチ離脱となりました。
とんだ模範演技になってしまいました。
その時の様子が動画にまとめられています。
なお、近くの診療所に搬送されたコーチかいぞー氏の診断は「肉離れ」。無念のシーズン終了ですが当人はへこむ様子も見せず笑顔です。パトそりデビューだと喜んで(?)おられました。「意外と乗り心地いいんですよあれ」橇に載せられたままスノモを運転するパト隊員の背中を撮影し、それをSNSにアップする余裕ぶり(笑)。
相当痛いはずですがかいぞー氏はむしろその境遇を面白がるような様子が見えてびっくりしました。タフな人だなあ……。しかしこういうなんでも楽しんでやれマインドを持つ人が私は大好きです。
戦線離脱したヘッドコーチに代わりチーママを買って出てくれた某社スキー部員Wさんの指示に従いつつ、しかし当然Wさんも自分の練習があるので、半分自主練風味でトレーニングは続行されました。
翌二日目は狭めのGSセットが組まれ、そこへさらに多少のリズム変化が採り入れられていました。左右のポールの振り幅が狭いところから急に広くなったりとか。
ま、私ほどのスキーヤーになりますと、ポールにフェイントをかけられてもまったく問題ありませんけどね。滑走スピードがノロいですから。余裕の対処(笑)。あ、かつてジムカーナ練習会で身につけた「2~3本先のパイロンを見る」という習慣ももしかしたら多少は役に立っているかもしれません。
滑走スピードが絶対的に遅いことは事実ですが、それでもポールの間隔が広がったことで前日よりもずっと滑走スピードは上がり、滑りながらアドレナリンが分泌されるのを感じ始めました。やっぱスピード出してポールを攻めていくのはかなり燃えますね。楽しいです。身体がどんどん前のめりになってきます。
ただ、アドレナリンもほどほどなら集中力が高まって良いのですが、滑走する快感に身を任せてしまって抑制を怠ると頭が真っ白になってラインが下がってしまう。やはり頭の中はほどほどに冷静にしてラインに集中しないとダメなようです。
何本か滑っているうちに少しずつセットの攻略も考えるようになってきました。斜面が落ち込んでいてずり落とされてしまう場所や、逆に斜度が落ちるので手前で失速すると大損するポイントなどをピックアップして、自分の頭の中で対策を考えられるようになってきました。その対策が正しいかどうかや対策通りに滑れるかどうかはまた別の話ですが。
こうしたポールセットから傾向と対策を導く方法論にはモータースポーツの知見がかなり活かせるように感じます。たとえば「緩斜面の手前で失速すると大損こく」というのは、サーキット走行で言えば「最終コーナーの出口をミスるとホームストレートで大損こく」というのと同じですよね。
ジムカーナやサーキット走行にはひとつのコーナーの処理が次に続くコーナーの処理に影響を及ぼす複合コーナーという概念があります。単独のコーナーなら単純にアウト・イン・アウトで走るのが最も速いのですが、その先すぐに別のコーナーが複合して続く場合は必ずしもそれがタイムアップにつながらないことがあります。たとえばどこかを犠牲にすることで全体のタイムが向上するといった工夫をします。基本的には、セクション出口の速度を最も高められるように逆算してラインを組み立てるのがセオリーです。
ポール滑走もこれとかなり似ていますね。というか、ポール滑走はもはや全体でひとつの複合コーナーと言ってもいいかもしれません。スキーにはアクセルがなく、加速度はほぼ重力からしか得ることができませんから、一箇所での意図せぬ失速が原因でそのあとフィニッシュラインまで傷が広がり続けることもありえるわけですね。
こうしたライン取りの作戦を詰将棋のように考えるのはモータースポーツ同様たいへん楽しいですが、それもこれも滑り方の基本、早く仕掛けてスキーをずらさずラインを高く保つことができてこそなんですよねえ。う~ん。あははー。
これはかなり楽しい遊びを体験してしまいましたよ。競技スキー。